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航宙機が古いゾ!の巻


=航宙機の運用期間のおはなし=

今日はGA-ファイターの点検整備実習で

連続サイクル分留装置の交換作業中。

高い天井が正午過ぎの

強い日差しを遮って

白く眩しく光る屋外とは対象的に

ひんやりとした空気の格納庫には

訓練用の航宙機体が置いてあり

両翼にある装置を

二手に分かれて作業をする

美希は教室での座学は

お利口に座っていても

聞いているやらいないやらの有様だが

こういう作業は手早かった。

「ねしょんべたれー♪

ねしょんべたれー♪」

と、オリジナルだんちゃんソングを

口ずさんでいたかと思うと

あっという間に交換を済ませて

菊地マコトへと作業を交代する。

機械類が苦手な如月千早が

美希の早業に目を丸くして

不安になっていると

マコトが自分の作業なら

何をしてるかわかるからと

見るように促した。

美希はそんなこともよそに

ポイと動翼から飛び降りると

機体の周りをウロウロしながら

関係ないハッチをあちこち開けては

のぞき込んで

ウン十年前の航宙機が

現役で使われていることに

不服を唱えた。

すると向こう側の動翼で

作業しながら聞いていた伊織が

「あのな、航宙機っていうのは

それその物もそうやけど

開発コストも信じられないくらい

掛かんの!」

と言いきかせた。

隣で萩原雪歩が

うんうんと頷いている。

機材も工具も設備も

自由に使わせてくれる

艦隊付属校では

美希のように普段から好き勝手に

機材をいじくり倒していても

いざ眼の前にあるものの

価格がどんなものか

サッパリ疎いままだったりする。

「コストってなんな」

「お金や」


伊織は美希のためにあえて

『費用』や『原価』と言うのを避けた 「高いんか」 「そうよ! 「でな?おいそれと買い換えるって

わけにはいかないから 主に中身の方を

グレードアップしていくわけだ」 「ほー!」

美希がオッサンじみた反応で

感心して相槌を打つ 「だからな?たとえば

GA-ファイターって名前が付いていても 型番違いで

全然性能とか別物になってるの ずーっと昔の仕様のまま

使ってるわけじゃないの」 「ほえ~、なるほど! おまえ、よー知ってるな!」


なぜか上から目線の美希である 「こんなん誰でも知ってるわ」

伊織は呆れたように言いながら

作業ハッチを閉じた。

「ええ!? まこちんでもか」 伊織を問いただすと事もなげに

「うん」と答えが帰ってきた

まこちんは自分より下だと

勝手に思い込んでいる美希は 「まこちん、なんでぇ今まで

わたしに黙ってたんよぉ!」

と、バッと振り返ってマコトに迫った

いきなり矛先がこっちに向いて

うろたえる真 「えー!」 「あんた心の中で笑ってたやろ?

自分のほうが賢いと

心の中で笑ってたなぁ!

このわたしを!」 「そんなことしないよー」 「ほんまかー?」 「うん」 「じゃあハグ」 ぎゅーっと大げさに

手を広げてから抱きしめ合う二人

(ただし軍手は汚れているので、

マコトの手はグーのまま) 「こちょこちょ!」

美希に抱きしめられたまま

くすぐられて

マコトは身をよじって声を漏らした

「あー!やぁめてぇ~」

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