top of page

ちーちゃん、ごめんやで?


喧騒が遠のき

宇宙基地を活動させる様々な

動力の音もここには届かない

静かにモニュメントを伝う

水音だけが響いている

静まり返った展望台

窓の外には美しい輪を携えた

巨大なガス惑星の

土星が浮かんでいる。

その土星に反射する

遠く太陽からやってきた光が

頼りなく差し込む

フロアにあるベンチには

千早がうつむいて座っている

その隣で所在なさげにしている美希。


ちーちゃん、ごめんやで?

んとね


あのー


伊織が言うてたんやけどね?


あの

わたしら艦隊の子ぉらはね?

あの

世間のあの~、

同い年ぐらいの

中高生の女子とはねー、

あの~、違うんやてぇ。

あの

普通のな?

女の子らはな?

あの~・・・なんて言うかなぁ?

わたしらはな?

宇宙に訓練に行くたびに

恋愛抑制剤飲んでたりな?

あと、あの~

テロリストは

ぶっ殺していいとかいう権限を

与えられてたりするけどな?

あの、普通の女の子は

そういうのは無いワケよ。

な?

あのー

だからね、そのー

普通の・・・子ぉらは、

っていう・・・のはその、

例えば草食動物の

群れとかみたいにな?

あのぉ、女の子グループの、

なんか色々ルールとか、

そういうのをな?

あんのやて!

・・・って伊織が

言うてるんやけどな?

わたしは分かれへんからな?

その・・・普通の、

中高生の女子はな?

男の子より弱いしね?

男子の目ぇもあるし・・・

そういう諸々でね?

そのぉー

わたしらとは違うルールが、

あるらしいんやけどな?

そういうなんていうの?

あのぉ~

普通の女の子、女子の、

心の機微みたいなんがね?

あんまり艦隊の女子には無い!

って言うんやけどね?

伊織がな?

そやけど

そんな事言われても

わたしらはこれが普通やと

思ってるからね?

そやからその・・・

・・・

艦隊の外から来た子ぉにね?

どう接したらいいか

わからんのよ ――――― 。

まだ千早が艦隊付属校の

3年B組に来て間もない頃のお話。

ヽ(・д・)ノ

最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page